冬に多い感染症。神奈川県の予防対策の取組みとは?
【神奈川県版】 AIG損保 事業者さま向けメールマガジンより 弊社配信
1 はじめに
冬は、インフルエンザをはじめとしたさまざまな感染症が流行するシーズンです。感染症は、発症すると数日から1週間程度休養が必要となるものが多いため、風邪と同様に日頃から予防に努めることが大切です。
ここでは、冬に流行する感染症にはどのようなものがあるのか、感染症予防のために社内で共有すべきポイントは何かと合わせて、神奈川県が取り組んでいる感染症対策についてご紹介します。
2 冬に多い感染症は?
まずは、冬に流行する感染症として代表的な「インフルエンザ」「ノロウイルス」「マイコプラズマ肺炎」、そして昨年から流行している「風疹」などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
●インフルエンザ
感染力が非常に強いインフルエンザは、毎年1月から2月に流行のピークを迎えます。日本では毎年1,000万人ほど感染しており、これは日本の全人口に対して10人に1人がインフルエンザに感染していることとなります。
インフルエンザのおもな症状としては、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。
呼吸困難や息切れ、下痢や嘔吐が続くなどの症状がある場合は重症化のサインです。これらの症状がみられる場合は、従業員に医療機関へ行くよう促しましょう。
※出典:首相官邸HP 「感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~」
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/index.html
●ノロウイルス
食中毒や感染性胃腸炎を引き起こすノロウイルスも、冬季に本格的に流行する感染症です。1年間に発生したノロウイルスによる食中毒のうち、うち約7割は11月~2月に発生しています。
ノロウイルスには、便や嘔吐物、飛沫などにより「人から感染するタイプ」と、感染者が調理した食品や加熱不十分な二枚貝などにより「食品から感染するタイプ」があります。症状としては、下痢や嘔吐、吐き気、腹痛などが挙げられます。
※出典:首相官邸HP 「ノロウイルス(感染性胃腸炎・食中毒)対策 ~冬は特にご注意を!~」
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/noro.html
●マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、感染者との接触や咳の飛沫によって「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染すると発症します。1年を通じて見られますが、冬に増加する傾向となっています。
症状としては、発熱や全身の倦怠感、頭痛、たんを伴わない咳などが挙げられます。また、熱が下がった後でも、咳が3~4週間続きます。小児や若い人の肺炎の原因としては、比較的多いものの1つです。
※出典:厚生労働省HP「マイコプラズマ肺炎に関するQ&A 平成23年12月作成、平成24年10月改訂」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou30/
●風疹
風疹は冬に多い感染症というわけではありませんが、2018年には11月頃から首都圏を中心に患者数が急増しました。感染力はインフルエンザの2倍から4倍といわれるほど強いため、注意が必要な感染症のひとつです。
感染すると約2~3週間後に発熱や発しん、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。発しんの出る2~3日前から発しんが出た後の5日程度まで感染性があります。特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。1週間以上病欠しなければいけないケースもあり、事業者としては注意が必要です。
風疹にかからないためには、予防接種の必要があります。過去の予防接種制度の変遷から、30代から50代の男性は、風しんの抗体(免疫)が低い方が2割程度存在していることが分かっています。
※出典:神奈川県 健康医療局 保健医療部健康危機管理課「神奈川県風しん撲滅作戦 特設ページ」
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/cnt/f420454/index.html
※出典:厚生労働省HP「風しんについて」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
3 感染症予防のために企業で共有すべきこと
ここからは、感染症予防対策として従業員に注意喚起したり、社内で取り組んだりすべき7つのポイントを見ていきましょう。
●咳エチケット
咳やくしゃみが出るときは、他人にうつさないためにもマスクを着用します。また、たんや鼻水などを含んだティッシュはすぐに捨てて、手のひらで咳やくしゃみを受け止めた際はすぐに手を洗いましょう。マスクは、市販の不織布製マスクが推奨されています。
※出典:厚生労働省HP「平成30年度 今冬のインフルエンザ総合対策について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/influenza/
●予防接種の推奨
インフルエンザや風疹は、予防接種を受けることが推奨されています。
・インフルエンザの予防接種
インフルエンザの予防接種は、発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があります。なお、ワクチンの効果や副反応など注意すべき点について、ワクチン接種を受ける人、またはご家族の方は、接種される医療機関にて、十分理解できるまで説明を受けてください。説明に同意した上で接種を受けるようにしましょう。
・風疹の予防接種
風疹を予防できるのは予防接種だけです。現在の予防接種では、MRワクチンという麻疹(はしか)風疹混合ワクチンが用いられています。そのため、風疹だけでなく麻疹の対策にもなります。
※出典:厚生労働省HP「平成30年度 今冬のインフルエンザ総合対策について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/influenza/
※出典:神奈川県 健康医療局 保健医療部健康危機管理課「神奈川県風しん撲滅作戦 特設ページ」
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/cnt/f420454/index.html
●手洗い・うがいの徹底
外から帰ったときや食事前など、手洗い・うがいはこまめに行うことを心掛けましょう。
●オフィス内のアルコール除菌
アルコール消毒は、風邪やインフルエンザなどの予防に効果的です。オフィスの出入り口などに設置することをおすすめします。
●オフィス内を適度な湿度に保つ
空気の乾燥によって喉の粘膜の防御機能が低下すると、インフルエンザの感染リスクも上がります。
オフィス内に加湿器を設置し、湿度は50%から60%程度に保つようにするといいでしょう。
※出典:神奈川県 健康医療局 保健医療部健康危機管理課「インフルエンザ対策について」
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430628/
●感染リスクの高い行動を避ける
感染症のシーズンは、「人混みや繁華街への外出は最低限にする」など、感染リスクの高い行動を避けるよう心掛けましょう。
●免疫力を高める
体の免疫力が低下していると感染リスクが高くなり、感染した際の症状も重くなってしまう可能性があります。
バランスの良い食事や十分な睡眠を心掛け、普段から免疫力を高めておくことがポイントです。また、風邪を引いてしまったときは、しっかり休養を取って長引かせないことも大切です。
4 神奈川県が取り組む感染症対策
神奈川県では、県内における感染症対策を進めています。ここでは、インフルエンザと風疹、それぞれどのような対策が行われているのか、ご紹介します。
●インフルエンザ対策
神奈川県は、「インフルエンザ対策について」という特設ページを設け、インフルエンザの予防策などを紹介しています。また、お住まいの市町村別に、インフルエンザに関する問い合わせができる保健所も紹介しています。
●風疹対策
神奈川県のホームページには、風疹対策を呼びかける「神奈川県風しん撲滅作戦 特設ページ」が設置されています。また、県内33ヵ所の市町村では、「大人の風しん予防接種費用助成制度」を行っており、通常10,000円程度かかる予防接種の費用の一部を、助成金として受け取ることができます。
※出典:神奈川県 健康医療局 保健医療部健康危機管理課「インフルエンザ対策について」
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430628/
※出典:神奈川県 健康医療局 保健医療部健康危機管理課「神奈川県風しん撲滅作戦 特設ページ」
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/cnt/f420454/index.html
5 おわりに
社内で一人感染症を発症するだけでも、周囲の従業員の感染リスクが高くなってしまいます。普段から積極的に予防を呼びかけるだけではなく、アルコール消毒や加湿器の設置など、社内でも実践できる対策に取り組むことが大切です。
インフルエンザだけではなく、この時期に感染リスクが高くなる感染症全般に注意しながら、シーズンを乗り切りましょう。