電力需要の高い冬場に取り組みたい、事業所別の節電対策

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1 はじめに

気候が冷え込み、日照時間も短くなる冬場は、事業所内における暖房機器や照明にかかる電力需要が、比較的高くなる傾向があります。企業経営における省エネルギー・省コストを実現させるためにも、適切に節電を行いたいところです。
そこで、オフィス・飲食店・製造業それぞれの事業所における、節電対策についてご紹介します。

2 事業所別・電力需要の特徴

まずは、オフィス・飲食店・製造業それぞれの事業所における電力需要はどのような傾向があるのか、その特徴を見ていきましょう。
オフィスの場合

冬場のオフィスビルにおける1日の電力の使われ方を見てみると、冷えたオフィスを暖めるための暖房使用によって、午前中に電力需要がピークに達するとされています。
また、電力消費のうち照明が約33%、空調用電力が約28%、パソコンやコピー機などのOA機器が約21%を占めています。これらを合わせると、電力消費の約82%を占めることから、この3つの分野における節電が効果的と考えられます。
飲食店の場合

ファミリーレストラン、居酒屋、ファストフード店など、飲食店における1日の電力の使われ方は、24時間型・昼型・夜型といった営業形態や、外気温や入客状況とともに変わっていきます。
電力消費のうち、給湯器や冷蔵庫・ショーケースなどの厨房機器が約47%、照明が約25%、空調が約14%、を占めています。これらを合わせると電力消費のうち約86%を占めることから、この3つの分野で節電を実施することが効果的といえるでしょう。
製造業の場合

製造業の事業所における1日の電力の使われ方は、昼間の操業か昼夜連続の操業かによって変わってきます。
昼間操業のおもな業種は、金属加工、自動車部品製造、電気・一般機械製造(組立)などで、負荷設備としては生産機械や電気炉、空調・照明などがあります。
一方、昼夜連続操業には食品加工、電気・半導体製造などの業種が挙げられ、負荷設備としては生産機械や空調・照明のほか、クリーンルームや冷凍・冷蔵設備などがあります。
このように、同じ製造業といっても必要な設備が異なりますが、多くの製造業において、電力消費の内訳で、負荷設備が高い割合を占めることは変わりません。
生産設備で節電を実施すると、生産活動に影響を与えかねませんので、生産設備ではなく、一般設備(空調・照明)を中心に節電を心掛けることがポイントとなります。
※出典:経済産業省HP 「冬季の節電メニュー」
http://www.meti.go.jp/setsuden/pdf/121102/121102_01f.pdf

3 省エネルギー・省コストは経営サイド主導で行う

節電対策に取り組むことは、企業のコストダウンに繋がるため、企業経営に直結します。企業の省エネルギー・省コストを実現させるためには、社内体制を経営サイドが構築し、社内全体でルールを順守していくことがポイントとなります。
事業所に適した節電対策を定め、無理のない省エネルギー・省コストを実現しましょう。

4 オフィスや作業場で実施したい節電対策

ここからは、それぞれの事業所における節電対策をご紹介します。事業所のタイプに応じて、どの節電対策を実施するかを決めていきましょう。

 

オフィスの場合

オフィスにおける節電対策は、次の6つを押さえておくと良いでしょう。

  • 執務エリアの照明を半分程度間引きする
  • 会議室や廊下など、使用しない場所の照明を消す
  • 白熱灯から電球形蛍光ランプやLED照明に交換する
  • 適切な温度管理を行う
  • 使用していない場所の空調を止める
  • 従業員が長時間席を離れる際には、OA機器の電源を切るか、スタンバイモードにするように促す

飲食店の場合

飲食店における照明・空調・厨房それぞれの節電対策は次のとおりです。

  • 使用していないエリア(事務室等)を消灯する
  • 客席の照明を半分程度間引きする
  • 白熱灯から電球形蛍光ランプやLED照明に交換する
  • 店舗の室内温度を19℃にする
  • 冷凍冷蔵庫内は詰め込みすぎず、庫内の整理を行うとともに、温度調節等を実施する

製造業の場合

製造業の場合、生産活動への影響が少ない一般設備を中心とした節電対策にすることがポイントです。

  • 使用しないエリアを消灯する
  • 白熱灯から電球形蛍光ランプやLED照明に交換する
  • 工場内の温度を19℃とする
  • 外気の取り入れを実行し、換気用動力や熱による負荷を低減させる

また、生産設備の節電も行う場合は、次のような節電対策があります。

  • 不要または待機状態の電気設備の電源オフを徹底する
  • モーターなどの回転機の空転防止を徹底する
  • 電気炉や電気加熱装置の断熱を強化する

※一定の条件の元での試算結果ですので、各々の建物の利用状況により削減値は異なります。また、方策により効果が重複するものがあるため、単純に合計はできません。節電を意識しすぎるあまり、保健衛生上、安全上及び管理上不適切なものとならないようご注意ください。

※出典:経済産業省HP 「冬季の節電メニュー」
http://www.meti.go.jp/setsuden/pdf/121102/121102_01f.pdf

5 おわりに

企業として取り組みたい節電対策を、事業所のタイプ別に紹介しました。
冬場に節電対策をする際は、従業員の健康のためにも、暖房機器の節電は無理のない範囲で行うことが大切です。節電に対する現場の意見も取り入れながら、適切な節電対策を講じて、企業の省エネルギー・省コストに役立てていきましょう。